まるで待ち人を待ちすぎて疲れ果てたかのような一日をすごしましたわたくしは、
どうにもおさまりがつかずに手にした花束をなんとかひもでくくりつけて、
赤い色が目につくのもかまわずにいっしょくたにまとめた花の幻想的な匂いを、
ただ無心に迷いもなく吸い込んでいたのですが、
涙が落ちて落ちて落ちて赤い花の中につるつるとすべりこんでゆくので、
やはりどうしても花束をまき散らさずにはいられないのです。
あなたはいずこ、いまはどこか遠い海のむこうにいて、
きっとわたくしのことなど忘れているのでございましょう、
なぜなら空をとぶ小さな鳥が一羽、
どうしてもわたくしのそばに降り立ってはくれないからなのです。
目を覚ませば海、巨大な海原のなかにわたくしは一人旅に出て、
果てない世界をたった一艘の小さな船でさまよっているのです。
助けてください、あなた。
これはわたくしのくだらないひとりごとでございますから、
この涙に濡れた薄い手紙の封を閉じても、
わたくしはこの封筒を海に浮かべて笑うだけなのでしょう。
赤い花が水面をするするとすべってゆきます。
あなたのところへ届くこともなく、
このままどこかへと消えてゆくのでございましょう。

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