CHURCH
2002年12月24日薄れゆく霧のように その声が通り過ぎて
今はただなにも見えず わたしはさまようけど
いつか叶えるだろう ささやかな願いを
今はもう離れてゆく わたしたちはどこまでも
遠い日に夢見たのは この手にあるひかり
触れ合えば消えてしまう ちいさなひかりだけど
しずかな波のように 汚れた身体を流すだろう
遠く離れてゆく
わたしたちはいつのまにか
なにもおそれずに 長い時をすごしていた
とても ちいさなことで喜び合った
今は離れてゆく わたしたちは遠く
わたしはこの先もずっと かすかなひかりを抱いてゆく
もうなにも聞こえない
わたしたちは気がつけば 暗闇の中にいたけれど
わたしは歩いてゆくだろう
おなじ時代をあなたと生きた
::::::::::::::::::
石川風の、クリスマスの歌ということで。
どこがどうクリスマスなのかわからないかもしれませんが(笑)
久しぶりにメロディのある詩をのせてみました。
今はただなにも見えず わたしはさまようけど
いつか叶えるだろう ささやかな願いを
今はもう離れてゆく わたしたちはどこまでも
遠い日に夢見たのは この手にあるひかり
触れ合えば消えてしまう ちいさなひかりだけど
しずかな波のように 汚れた身体を流すだろう
遠く離れてゆく
わたしたちはいつのまにか
なにもおそれずに 長い時をすごしていた
とても ちいさなことで喜び合った
今は離れてゆく わたしたちは遠く
わたしはこの先もずっと かすかなひかりを抱いてゆく
もうなにも聞こえない
わたしたちは気がつけば 暗闇の中にいたけれど
わたしは歩いてゆくだろう
おなじ時代をあなたと生きた
::::::::::::::::::
石川風の、クリスマスの歌ということで。
どこがどうクリスマスなのかわからないかもしれませんが(笑)
久しぶりにメロディのある詩をのせてみました。
霧隠れ
2002年12月18日枯れ葉をふみしめて歩く
乾いた土のにおいがして僕は
ほんのすこし
寂寞とした森の中を歩いてみる
忘れたものがここにある
なにかを取り戻そうとして
すでに 求めていないことに気づく
なにかにすがりつこうとして
すでに 必要でないことに気づく
なにもかもが不安定のこの足取りで
それでも僕は
歩いていることにふと気づく
日が沈む
けれど夜が深まったとして
僕は
電池の切れかけた懐中電灯を
まだ持っていることを知る
それはいつか消えてしまうが
町に降りれば
たくさんの明かりがあることを知っている
乾いた土のにおいがして僕は
ほんのすこし
寂寞とした森の中を歩いてみる
忘れたものがここにある
なにかを取り戻そうとして
すでに 求めていないことに気づく
なにかにすがりつこうとして
すでに 必要でないことに気づく
なにもかもが不安定のこの足取りで
それでも僕は
歩いていることにふと気づく
日が沈む
けれど夜が深まったとして
僕は
電池の切れかけた懐中電灯を
まだ持っていることを知る
それはいつか消えてしまうが
町に降りれば
たくさんの明かりがあることを知っている
偽りなきもの
2002年12月16日僕を救ってくれ
愛情も
ぬくもりもいらない
慰めや優しさは
僕にとって
塵ほどの価値もない
僕を救えるのは
揺るぎない真実
ただそれだけ
たとえ苦しみあえごうと
たたみかける過酷な真実
僕を救えるものは
ただそれだけ
愛情も
ぬくもりもいらない
慰めや優しさは
僕にとって
塵ほどの価値もない
僕を救えるのは
揺るぎない真実
ただそれだけ
たとえ苦しみあえごうと
たたみかける過酷な真実
僕を救えるものは
ただそれだけ
天蓋ゆりかご
2002年12月14日遠いところにいるのね
あんなにも近く
あんなにもあたたかく
この場所にいたのに
わたしがここでゆっくりと
すわっていることができなかった
だからなのね
後悔しているわけじゃない
わたしはいつもこうして
ゆっくりと枯渇する
その寝床はあくまでも
目覚めるための場所
どんなに大切に守られたとして
私の中にはぬぐい去れぬ
野生の血が流れている
とても素敵な場所だった
まるでずっと昔から
そこで眠っていたかのような
あんなにも近く
あんなにもあたたかく
この場所にいたのに
わたしがここでゆっくりと
すわっていることができなかった
だからなのね
後悔しているわけじゃない
わたしはいつもこうして
ゆっくりと枯渇する
その寝床はあくまでも
目覚めるための場所
どんなに大切に守られたとして
私の中にはぬぐい去れぬ
野生の血が流れている
とても素敵な場所だった
まるでずっと昔から
そこで眠っていたかのような
永劫の地
2002年12月12日絶え間なく続くのよ
この パラダイスのような地獄は
わたしは今
おかしくてたまらないの
バカみたいなこの瞬間
煮えくり返るほど愉快なこのひととき
わたしは今
すべてのものを壊したくて
うずうずしているのよ
知ったかぶりをして世をわたる
うそつきの仮面は百万くらい持っている
でも それでなにが悪いの
真実を見抜いていると錯覚する
薄汚いゴミは山ほどいるのよ
この パラダイスのような地獄は
わたしは今
おかしくてたまらないの
バカみたいなこの瞬間
煮えくり返るほど愉快なこのひととき
わたしは今
すべてのものを壊したくて
うずうずしているのよ
知ったかぶりをして世をわたる
うそつきの仮面は百万くらい持っている
でも それでなにが悪いの
真実を見抜いていると錯覚する
薄汚いゴミは山ほどいるのよ
ある花売りの秘め日記
2002年12月10日まるで待ち人を待ちすぎて疲れ果てたかのような一日をすごしましたわたくしは、
どうにもおさまりがつかずに手にした花束をなんとかひもでくくりつけて、
赤い色が目につくのもかまわずにいっしょくたにまとめた花の幻想的な匂いを、
ただ無心に迷いもなく吸い込んでいたのですが、
涙が落ちて落ちて落ちて赤い花の中につるつるとすべりこんでゆくので、
やはりどうしても花束をまき散らさずにはいられないのです。
あなたはいずこ、いまはどこか遠い海のむこうにいて、
きっとわたくしのことなど忘れているのでございましょう、
なぜなら空をとぶ小さな鳥が一羽、
どうしてもわたくしのそばに降り立ってはくれないからなのです。
目を覚ませば海、巨大な海原のなかにわたくしは一人旅に出て、
果てない世界をたった一艘の小さな船でさまよっているのです。
助けてください、あなた。
これはわたくしのくだらないひとりごとでございますから、
この涙に濡れた薄い手紙の封を閉じても、
わたくしはこの封筒を海に浮かべて笑うだけなのでしょう。
赤い花が水面をするするとすべってゆきます。
あなたのところへ届くこともなく、
このままどこかへと消えてゆくのでございましょう。
どうにもおさまりがつかずに手にした花束をなんとかひもでくくりつけて、
赤い色が目につくのもかまわずにいっしょくたにまとめた花の幻想的な匂いを、
ただ無心に迷いもなく吸い込んでいたのですが、
涙が落ちて落ちて落ちて赤い花の中につるつるとすべりこんでゆくので、
やはりどうしても花束をまき散らさずにはいられないのです。
あなたはいずこ、いまはどこか遠い海のむこうにいて、
きっとわたくしのことなど忘れているのでございましょう、
なぜなら空をとぶ小さな鳥が一羽、
どうしてもわたくしのそばに降り立ってはくれないからなのです。
目を覚ませば海、巨大な海原のなかにわたくしは一人旅に出て、
果てない世界をたった一艘の小さな船でさまよっているのです。
助けてください、あなた。
これはわたくしのくだらないひとりごとでございますから、
この涙に濡れた薄い手紙の封を閉じても、
わたくしはこの封筒を海に浮かべて笑うだけなのでしょう。
赤い花が水面をするするとすべってゆきます。
あなたのところへ届くこともなく、
このままどこかへと消えてゆくのでございましょう。
恋人
2002年12月6日なにも見えないね
暗がりの中で歩く
僕たちは今
おそらくは
なにもない世界の中を
ゆっくりと歩く
たまに
君が走り出す
なんの目的もなく
なんの痛みもなく
たまに
僕は立ち止まる
なんの意味もなく
なんの
悲しみもなく
そうして離ればなれになってはじめて
世界にあふれているたくさんの
雑多なものが見えてしまって
あまりに多くのものが
見えてしまって
君をさがすことができない
一体
どこまで遠ざかってしまったのか
悲しみとか痛みとか
そんな陳腐なものが
突然
雨のように降ってきて
暗がりの中で歩く
僕たちは今
おそらくは
なにもない世界の中を
ゆっくりと歩く
たまに
君が走り出す
なんの目的もなく
なんの痛みもなく
たまに
僕は立ち止まる
なんの意味もなく
なんの
悲しみもなく
そうして離ればなれになってはじめて
世界にあふれているたくさんの
雑多なものが見えてしまって
あまりに多くのものが
見えてしまって
君をさがすことができない
一体
どこまで遠ざかってしまったのか
悲しみとか痛みとか
そんな陳腐なものが
突然
雨のように降ってきて
レンズ
2002年12月4日ひかりよ
ぼくはここまで歩いても
どうしても 前が見えないんだ
みんな こんなにもまよわずに
くねくねとどこかを歩いているのに
ひかりよ
ぼくはどうしても
視力が低下してゆくので
せめて
15年前に買っておいた
重い眼鏡をかけたいんだ
ただ 残念ながらこの眼鏡
乱視はどうにもできないけれど
ぼくはここまで歩いても
どうしても 前が見えないんだ
みんな こんなにもまよわずに
くねくねとどこかを歩いているのに
ひかりよ
ぼくはどうしても
視力が低下してゆくので
せめて
15年前に買っておいた
重い眼鏡をかけたいんだ
ただ 残念ながらこの眼鏡
乱視はどうにもできないけれど
氷の棺
2002年12月2日それは ささやかな場所
長い 長い時間をすごしてきた
たくさんの場所を転々として
長い 長い時間をすごしてきた
私は生まれて死んでゆく
そして私はまた生まれ
たくさんのきょうだいたちに囲まれて
たくさんの
魔物たちに囲まれて
そのあたたかな優しい血を
ほんのすこしいただいたりもして
それは ささやかな場所
時は流れ 100年に満たぬいくつもの
たくさんの私が渡り歩く
ひとりで生きていくけれど
人混みをさがして歩いていく
私がくりかえし くりかえし
変化してゆくために
足元にはたくさんの
氷の棺があるけれど
長い 長い時間をすごしてきた
たくさんの場所を転々として
長い 長い時間をすごしてきた
私は生まれて死んでゆく
そして私はまた生まれ
たくさんのきょうだいたちに囲まれて
たくさんの
魔物たちに囲まれて
そのあたたかな優しい血を
ほんのすこしいただいたりもして
それは ささやかな場所
時は流れ 100年に満たぬいくつもの
たくさんの私が渡り歩く
ひとりで生きていくけれど
人混みをさがして歩いていく
私がくりかえし くりかえし
変化してゆくために
足元にはたくさんの
氷の棺があるけれど
道化服を着た恋6「白磁の花」
2002年9月24日もう
こんなところまで来てしまったよ
花がたくさん咲いている
ひとつひとつを踏みしめる
種を宿す前に 朽ち果てるだろうから
荒れた花畑が僕を見ている
どうしても
裏切らずにいられない僕は
君が持っていた刃を奪い
地に突き刺して進んでゆく
僕の左手には
消される時をただ待っている
赤い火のついた葉っぱの筒
ひとくち吸って煙を吐いて
花畑を超えるとほら
美しい 愛しい灰皿がそこにある
白磁の君
その手のひらに 赤い 黒い花を咲かせよう
待ちつづけたのは僕なんだ
それはもう 長い 長いあいだ
こんなところまで来てしまったよ
花がたくさん咲いている
ひとつひとつを踏みしめる
種を宿す前に 朽ち果てるだろうから
荒れた花畑が僕を見ている
どうしても
裏切らずにいられない僕は
君が持っていた刃を奪い
地に突き刺して進んでゆく
僕の左手には
消される時をただ待っている
赤い火のついた葉っぱの筒
ひとくち吸って煙を吐いて
花畑を超えるとほら
美しい 愛しい灰皿がそこにある
白磁の君
その手のひらに 赤い 黒い花を咲かせよう
待ちつづけたのは僕なんだ
それはもう 長い 長いあいだ
道化服を着た恋4「知恵の輪」
2002年9月20日愛されることに飢えている?
果たして本当にそうなのか
僕が君を愛していなくても
君は僕から逃げられないよ
僕と君は似ていると
最近すこし思うのだけど
君の憎しみに撃たれると
心の底からゾクゾクするよ
そりゃもう どんな媚薬よりも
効果はてきめんさ
果たして本当にそうなのか
僕が君を愛していなくても
君は僕から逃げられないよ
僕と君は似ていると
最近すこし思うのだけど
君の憎しみに撃たれると
心の底からゾクゾクするよ
そりゃもう どんな媚薬よりも
効果はてきめんさ
道化服を着た恋3「遊覧船」
2002年9月18日たとえば
カラフルな街で君を置き去りにしても
僕にはなんのおとがめもない
老若男女あふれる通りで君の手を離しても
僕はなにも悪くない
爪を切る音が耳につく
僕をさがしてさまよう前に
コンタクトレンズを正しく装着したらどうだろう
あざやかな音が耳につく
視力0.06の君と
どうやって暮らせというんだろう
見知らぬ女が僕の部屋を闊歩する
どう耐えてゆけというんだろう
僕の姿が
ほんとうに見えるかい?
僕はすこし旅に出る
帰らないかもしれないけれど
僕じゃない
ひどいのは君のほう
カラフルな街で君を置き去りにしても
僕にはなんのおとがめもない
老若男女あふれる通りで君の手を離しても
僕はなにも悪くない
爪を切る音が耳につく
僕をさがしてさまよう前に
コンタクトレンズを正しく装着したらどうだろう
あざやかな音が耳につく
視力0.06の君と
どうやって暮らせというんだろう
見知らぬ女が僕の部屋を闊歩する
どう耐えてゆけというんだろう
僕の姿が
ほんとうに見えるかい?
僕はすこし旅に出る
帰らないかもしれないけれど
僕じゃない
ひどいのは君のほう
道化服を着た恋2「涙の勘定」
2002年9月14日泣いている君を置いて僕はでかける
空は晴れてとても綺麗
そろそろ雲も遠ざかる季節で
とおりすぎる風がとても綺麗
君はまだ 僕の家で泣いている
どうにも手がつけられないから
僕はチェリージャムを置いてきた
空になるまで食べるといいよ
焼きたてのパンを並べてさ
帰ると君はまだ泣いている
そろそろうっとおしくなったから
その涙の量でもはかって
愛の深さをはかるとしようか
空は晴れてとても綺麗
そろそろ雲も遠ざかる季節で
とおりすぎる風がとても綺麗
君はまだ 僕の家で泣いている
どうにも手がつけられないから
僕はチェリージャムを置いてきた
空になるまで食べるといいよ
焼きたてのパンを並べてさ
帰ると君はまだ泣いている
そろそろうっとおしくなったから
その涙の量でもはかって
愛の深さをはかるとしようか
道化服を着た恋1「人さらい」
2002年9月12日夜が来るよ
冷蔵庫の中にある瓶の中身は
天にも昇る濃厚な液体だから大丈夫さ
クラクラするだろう
どこまでも連れていくよ
これをひとつぶかじってごらん
なんのへんてつもない
ただの薬の味だから
逃げてごらん
体が動くなら
:::::::::::::::
このシリーズ題名はパロディです。
「道化服を着た骸骨」という大手拓次の詩があって、
西村朗が曲をつけた「道化服を着た死」という合唱曲がありますが、
私はこの歌がとても好きなんです。
冷蔵庫の中にある瓶の中身は
天にも昇る濃厚な液体だから大丈夫さ
クラクラするだろう
どこまでも連れていくよ
これをひとつぶかじってごらん
なんのへんてつもない
ただの薬の味だから
逃げてごらん
体が動くなら
:::::::::::::::
このシリーズ題名はパロディです。
「道化服を着た骸骨」という大手拓次の詩があって、
西村朗が曲をつけた「道化服を着た死」という合唱曲がありますが、
私はこの歌がとても好きなんです。
ゆくあてもなく
2002年9月10日美しく飾り立てたものが
かぎりなく けがれてゆく
かぎりなく よごれてゆく
怖ろしくてもう 口もきけない
どこへむかうのだろう
坂道が
どこまでも転がり落ちる
坂道が見える
また この坂をくだっていったとして
ここに戻れるのは いつ
かぎりなく けがれてゆく
かぎりなく よごれてゆく
怖ろしくてもう 口もきけない
どこへむかうのだろう
坂道が
どこまでも転がり落ちる
坂道が見える
また この坂をくだっていったとして
ここに戻れるのは いつ